神尾 すみ江
昭和23年3月24日生まれ
五泉小学校、五泉中学校、五泉商業高校後
建築現場など見たことも無かった私ですが、自営の材木業での配達は新鮮でした。大工さんの工事現場に無条件で入れて頂け、随分と勉強になりました。思い起こせばその頃の建築は大工さんとお施主様の御主人が全てを決めるのが当たり前、何を決めるにも大工さんの意見が優先、キッチンなどの水回りも女性の出る幕などあるはずもなく完成に至るのです。最初はそういうものだとおもっていたのですが、完成した建物は来客第一主義の間取りで御主人の自慢のお座敷、家族の居場所は玄関脇、アレ、これって変じゃない?と思い始めた事が気っかけでもっと女性の立場になった設計があってもいいのでは、家事をするのも女性、家にいる時間が一番多いのも主婦、家は家族みんなの為のもの、奥さんの意見がもう少し反映されてもいいのでは、女性の声に耳を傾ける同性の建築士がきっと必要とされる時が来るはず、と思い俄然意欲を燃やしました。
ある日、シックハウス問題がクローズアップされ、社会問題にまで発展した事ありました。新築の家の材料で新建材から出る有害物質による健康被害が広がっている現実が浮き彫りになったのです。実は私もあの強烈な臭いは新築の臭いと思っていた一人でした。まさか新築して病気で苦しむなんて、想像もしなかった事に頭は混乱、如何したらいいのか解決は見えませんでした。そんな折喘息で悩んでおられた御家族から新築の依頼があったのです。試行錯誤でした、昔の家はこんな問題が無かった事を思い起こし、木や塗り壁、畳など自然素材を懸命に学び、自然素材を使った家つくりに辿りつきました。
結果は症状が改善に向かい、何時しかお子様の元気の姿を見る事が出来たのです。間違いではなかったという安堵感と、あのいやな臭いが無い木の香りの心地よさを実感した家でした。
この事で喘息やアトピーなどで苦しんでおられる方の家を自信を持って建てる事が出来た自然素材のスタートだったのです。家を建ててからアレルギーが快方に向かい、身体が楽になりました等の声を多く頂き、地産地消地元の素材で一人でもおおくの方に健康で暮らせる家をお勧めしています。家は家族の命を守るもの、苦しめるものではありません。デザインも大切、価格も大切、でももっと大切なものがあります“健康”です。
今、大学でも木と健康をテーマにした研究の話が多く聞かれます。研究成果の本を県より紹介して頂き読むことで、より自信を持って自然素材をお勧め出来るようになりました。今後は自分自身も研究に加われるチャンスがあったら参加したいと考えております。
木材は再生可能な資源、これを未来につないでいく事、森林は健全な状態にできれば、ゲリラ豪雨による地滑りや渇水にも対応できる。
木はリラクゼーション効果でストレスを解消、優れた調湿機能でカビ、ダニの抑制でアレルギーの改善、手足の冷えが解消など健康を育む素材である事など地域材の特色と建築について、お客様の声も交えて講演をいたしました。
最後に未来へのメッセージとして
地産地消でお客様を元気にする家づくりと、木を使って地球環境へ貢献、地元の林業、製材業など地域経済の活性化など好循環のサイクルの構築が、未来へのメッセージですと結び講演を終了させていただきました。
パネリスト林野庁関東森林管理局森林整備部長 木暮 甲吉
(株)坂詰製材所専務取締役 桐生 透
(有)神尾材木店代表取締役 神尾すみ江
パーソナリティ FM-NIIGATA 中村智景
コーディネーター 新潟日報社取締役特任論説編集委員 鈴木聖二
たいがいの一般消費者は、杉材と言うと価格の問題や強度などで尻込みする傾向があるが、生命を持ち呼吸する「木」を家に使う事は、計りしれない恩恵をもたらしてくれる事や、山持ちの方、すなわち川上の方から木にまつわる、消費者の知らない話などを発信していく事の大切さ、地元の気候風土を知り尽くした越後杉の活用することで地域が活性化され里山も甦るし、山や森の担い手が増えて行く事に繋げていきたいと講演をしました。